腸がもつ不思議な力「腸と脳 エムラン・メイヤー」

腸と脳は連携している

この本は腸と脳が相互に連携していて、直感的判断、情動、ひいては脳疾患にまで影響していることを科学的に説明している本です。

腸脳相関という言葉が本書には登場します。腸と脳は血流や数多くの神経経路、内分泌経路によって相互に密接に関連していることを指します。

また、腸内の微生物の数は膨大2kgほどあって、人の脳ほどの重量だといいます。この微生物も外部のストレス刺激に基づく、脳の反応による、腸内へのストレス反応に応じた腸内環境の変化に対応すべく変化していくのですが、これも人の健康面に影響を与えているといいます。

胸がむかつく、はらわたが引き裂かれる思い、などといいますがこのように内臓からの反応を言葉として表現しているものは多いです。そして、心持ちに影響しているので、直感的判断にも大きく影響してくるのです。

つまり、腸内の微生物が我々の直感的判断に影響しているなんて、すごく不思議で、微生物ですから本来異物なのでなんだか気持ち悪い気もするのですが、腸内の微生物の多様性が低いとさまざまな脳疾患のリスクが上がることが研究結果によりわかっているそうです。

腸が物事を決定していることも

腸なんて消化器官、消化のための臓器、としか考えていなかったのですが、内臓は私たちの価値判断にも影響しているのだと知りました。そして、時にはその内臓からの直感的判断に従うべきだとの記述は、「影響力の武器」という有名な心理学の本にもあったなと思い出しました。

しかし、これは心理学ではなく神経経路、内分泌系などの観点から判明した医学上の話で、さらに興味深く読めた本でした。

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