宇宙と素粒子の面白い話の数々 宇宙は何でできているのか  素粒子物理学で解く宇宙の謎 村山斉



今回ご紹介するのは「宇宙は何でできているのか  素粒子物理学で解く宇宙の謎 村山斉」です。この本は一般の方向けに、素粒子の性質や発見の歴史などをひもときながら、宇宙の謎を解説してくれる本です。

宇宙論がくれる知的興奮

宇宙のことはいつも見上げれば夜空があるのに、お金や人間関係のことばかり考えてしまうものです。この本はそんな思考のこり固まりを解きほぐしてくれるような知的興奮を与えてくれます。

素粒子の世界は不思議な世界

素粒子の話にはちょっと常識では考えられない話が多くでてきます。そもそも地球が太陽の周りを回っているとガリレオが言ったときも異端扱いを受けましたし、ニュートンがリンゴも地球も引力持っている。万有引力があると言ったときも、相当常識を逸脱した発想だったといえるでしょう。
たとえば、これは少し考えれば分かることですが、光もこの地球に届くには時間がかかるので、私たちが太陽を見てもそれは8・3分前の光です。同様に夜空の星たちの光も何百万年前の光だったりするのかもしれません。すると、目の前にある世界は少し時間差で見ているわけです。横断歩道を渡るあの人も、隣にいるあなたの家族も今いるあなたと同じ時間ではなく、少し過去の世界の姿を見ているのですね。不思議な気がします。
あとSFででてくる反物質の話もありました。素粒子の質量や、スピンの性質がおなじだけど電荷が逆、という物質らしいです。水素の反物質、「反水素」はすでに作ることに成功しているそうです。この反物質が物質と出会うと消滅し、すべてエネルギーになるそうです。エネルギー変換効率がいいそうですが、つくるには膨大な予算が必要なので実用化はまだ先のようですね。
また、宇宙全体の星たちを集めても宇宙全体の重さの0・5%しかないそうです。大部分は暗黒エネルギーと呼ばれる、よく正体の分かっていないもののエネルギーで構成されているそうです。

私たちの世界観を広げてくれる本

なんだか壮大すぎてイメージしにくいかもしれませんね。
しかし、読んでいるうちに目の前の世界が少し違って感じられるおもしろい本でした。

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