絵画鑑賞入門者に
この本は名画にまつわる、筆者の感想とエピソードつづった本で、名画鑑賞の入門に最適な本です。
皆さんは美術館に行ったことはありますか?美術館に行くと、多くの人だかりと、その人だかりの後ろから遠巻きに眺めて、「ふーん」という感じに漠然とした感想を抱いて帰っていくのが、私のたいていのパターンです。
しかし、この本を読むと、見る人によって名画が、実は多くのことを語っていることを思い知らされるのです。
ムンクの叫び
例えば、「ムンクの叫び」という名画をご存じでしょうか。よく、あの絵の中で、ムンクは頭を押さえて叫んでいるのだ、と思っている方は多くないでしょうか。
実は、ムンクは大地の叫びに恐れおののいて、耳をふさいでいるのです。意外に思われたのではないでしょうか。ムンクは不安な時代背景、空気感に堪えながら生きる、現代人の姿を描いていたのです。
実はそのような現代の不安と戦うことを、人々に鼓舞する絵だったのですね。ムンクは80歳まで生きたそうです。長生きですよね。あの絵の姿からすると、すごく衰弱した姿をイメージしますが、やはり意外だと思いませんか?
大変読みやすく、挿絵も美しい本
このように、この本を読むと美術史が理解できます。そして、それらが筆者の巧みな筆力で日常のエピソードを交えてつづられています。大変読みやすいです。
美術に興味がある方、入門者の方に最適ではないでしょうか。名画の挿絵もあるので、名画を手元に置いておきたい方にもいいですよ。