9プリンシプルズ  加速する未来で勝ち残るために 伊藤穣一 ジェフハウ

2022年5月31日

インターネットの普及により、ビジネスのあり方は様変わりしましたよね。今までの常識にとらわれていると、これからの時代は対応できなくなるかもしれません。

本書は、筆者の考える、これからの時代に必要な行動原則を、9つに分けて述べている本です。

9つの原則の一つ、「強さよりも回復力

今回はそのうちの一つ「強さよりも回復力」について見てみたいと思います。

「失敗を克服するだけの回復力を持つ組織は、ちょうど健康な免疫系が感染に対し病原菌の新しい防衛を発展させるように、回復力ある組織は間違いから学んで環境に適応する。」

「防衛的なゲームをプレイするときの重要な要因は、攻撃者よりも素早く動き、予測不能になることだ。」

回復力をつけよう

コロナウイルスの脅威を見ても、圧倒的な増殖力、変化力を持つウイルスは、彼らを地上に君臨する人類という強者に立ち向かう生物と考えられるかもしれません。

彼らは一個一個はすぐに死滅するものの、変化力、増殖力が圧倒的です。

いわば、強くはないものの、生物種としての回復力が強靭で、ほぼせん滅不可能な生物種と言えるでしょう。

ならば、人類も先手先手で先読みしながら変化スピードを上げる、手法を多様化するなどの「回復力」を重視した対策が必要なのでしょう。

一番いけないのは、無謬性、絶対に間違いはないと言い切ってしまう体制、体質になることなのかもしれません。

かつて、原子力発電所は絶対安全神話に陥り、事故を起こしました。万が一にも発生しないはずの事態が現実には起き、甚大な被害をもたらしました。

つまり、破壊され、負け、事故が起きることを織り込んで、なお回復できる体制こそが重要なのでしょう。

ポジティブな気分になれる本

この本は、コンピューター業界のIT企業たちがとった開発方針、経営戦略をたとえ話に用いる場面が多いです。

そのため、筆者の考える新しい時代に向けた哲学的な概念を学べるだけではなく、テクノロジーの現場で用いられている発想やストーリー、事例を学べる本です。

全体としてIT業界のチャレンジングな空気を感じ取れる内容です。読者をチャレンジへと奮い立たせるような気持ちにさせるポジティブな本といえるでしょう。